人間は何も学ばない

「雨が降ったら傘さして 傘がなければ濡れてゆく そんな人生がちょうどいい」

ウイルスの脅威を度外視して東京五輪開催を公言し、「2030年インバウンド6000万人」の大風呂敷を広げたまま

 

 イギリス出身のデービッド・アトキンソン氏。観光立国から中小企業再編までを指南し、メディアには「菅首相アトキンソン信者」とまで書かれている。

 

 「2013年から始めた観光立国の仕組みづくりに際してアトキンソンさんの本を読み、感銘を受け、すぐに面会を申し込んだ。その後何度も会っている」

 

 

昨年、スペシャル対談 官房長官 菅義偉×小西美術工藝社社長 デービッド・アトキンソン──カギはIRとスキー場だ〉と題した『週刊東洋経済』9月7日号で菅自身がそう語った。インバウンドによる観光振興の仕掛け人が、アトキンソンだと官房長官時代の菅本人が言っている。

 

 

 

菅首相を動かす観光立国政策の指南役D・アトキンソン氏とは|NEWSポストセブン

“このコロナ禍で首相になってなお、ウイルスの脅威を度外視して東京五輪開催を公言し、「2030年インバウンド6000万人」の大風呂敷を広げたままだ”

2021/06/15 12:52

  

このコロナ禍で首相になってなお、ウイルスの脅威を度外視して東京五輪開催を公言し、「2030年インバウンド6000万人」の大風呂敷を広げたままだ。ここへ来てさすがにGo Toキャンペーンなる無茶な政策は一時停止を余儀なくされたが、いまだインバウンドの目標は死守しようと必死なのである

 

菅が読んだ本は、2015年にアトキンソン東洋経済新報社から出版した『新・観光立国論』だ。いわば菅はアトキンソンのネームバリューを使い、インバウンドの指南役に仕立てただけではないだろうか。

 

中小企業の数を減らせ

このアトキンソンの提言は観光にとどまらない。もう一つの持論が、最低賃金の引き上げなどによる中小企業の再編だ。日本の企業の99.7%を占める中小企業の数を減らし、生産性を高めよ、という主張で、菅も検討を指示している。が、霞が関の官僚からは不満も大きい。

 

「中小企業の賃金問題や数が多いのは誰もがわかっているけど、そう簡単に整理統合はできません。企業を減らせば大量の失業者が発生するのは目に見えており、徐々に変えていくしかない。経営者にしてみたら、ただでさえコロナ禍で経営が苦しいのに実情がわかっていない外国人に言われたくないよ、という思いではないでしょうか」(ある経産官僚)

 

 

 

 

新・観光立国論 / イギリス人アナリストが提言する21世紀の「所得倍増計画」 | 本の要約サイト flier(フライヤー)

少子化対策も即効性が期待できず移民政策もなかなか受け入れられない日本において経済を成長させる思わぬ秘策があるという。それは外国人観光客という名の「短期移民」を招き彼らにお金を落としてもらうこと”

2021/06/15 13:13

 

少子化対策も即効性が期待できず、移民政策もなかなか受け入れられない日本において、経済を成長させる思わぬ秘策があるという。それは、外国人観光客という名の「短期移民」を招き、彼らにお金を落としていってもらうこと。

 

 

 

 

菅政権とパソナ 規制緩和という名の利益誘導が進むカラクリ|NEWSポストセブン

“菅自身は自らの政権をスタートするとその未来投資会議を「成長戦略会議」と改め、竹中をはじめとした経済ブレーンを据えた。インバウンド政策を提唱したデービッド・アトキンソンも成長戦略会議に加わっている”

2021/06/15 13:07

 

菅政権の「新自由主義政策」のブレーンとされるのが、人材派遣大手パソナグループ会長の竹中平蔵氏である。だが、菅氏と竹中氏の関係は、通常の政治家とブレーンの関係とは趣が異なる。竹中氏が小泉内閣総務大臣を担当していたころ、菅氏は副大臣として仕える身だった。つまり、主従関係が逆だったのだ。

 

現在、東洋大学国際地域学部教授、グローバル・イノベーション学研究センター長の肩書を持つ竹中は、人材派遣大手「パソナグループ」の取締役会長であり、金融コングロマリットオリックス」や「SBIホールディングス」の社外取締役でもある。人材派遣会社の会長が、残業代タダ法案と酷評されたホワイトカラーエグゼンプションや派遣労働の枠を広げ、今なおデジタル庁構想を後押しする。デジタル庁構想の基幹政策であるマイナンバーカードの普及は、パソナのビジネスにもなっている。

 

産業競争力会議は安倍前政権の途中、未来投資会議と名称を改めるが、実態は変わらない。菅自身は自らの政権をスタートすると、その未来投資会議を「成長戦略会議」と改め、ここに竹中をはじめとした経済ブレーンを据えた。インバウンド政策を提唱したデービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)も成長戦略会議に加わっている。